バムルンラードインターナショナル病院の内科リウマチ専門医のスパット・トンプーサワン医師は、「リウマチ・自己免疫疾患とは、免疫システムが過剰に働くことで自己攻撃をするようになる病気で、関節炎、関節や筋肉の痛み、体の発疹、その他多くの原因不明の症状を引き起こす可能性がある。」と語ります。
関節痛は、オフィス症候群のような生活習慣の乱れや、年齢による症状だとばかり思っていましたが、筋肉痛や関節痛を引き起こす病気の多くが自己免疫疾患に該当し、年齢に関係なく誰もがターゲットになる可能性があるのだそうです。若いうちは、背中や関節の痛みはオフィスワークのせい、あるいは仕事や運動のし過ぎ・・・かと勘違いしがちです。しかし、現在の症状と過去の症状を比較したり、同世代の人と自分を比べたりする必要があるのです。生活習慣に変化がないのにいつもより症状が重い、痛みがひどくなった、同年代の人と比べて症状が重い場合は、この痛みが正常かどうか、よく考える必要があります。
タイで生まれ育ったスパット先生は、マヒドン大学ラマティボディー病院医学部を卒業後、米国に渡り、ニューヨークとフロリダでさらに研修を積みました。そこで多くの診療経験を積んだ後、タイに戻り、2018年にバムルンラード病院チームに加入しました。高い能力を持つ人材と最先端の設備により、バムルンラード病院チームは、東南アジア地域でこれまで診断できなかった症例を診断することができるようになりました。自己免疫疾患に伴うリスク、そしてタイムリーな診断と治療がいかに重要かを更に語ってくれました。
特にここタイでは、リウマチの専門医が治療する病気はどのようなものが多いのでしょうか?
関節リウマチが最も多く、次いでループス、タイではSLE(全身性エリテマトーデス)と呼ばれています。3番目に多い自己免疫疾患は強直性脊椎炎(AS)で、慢性的な腰痛の原因となる病気です。
その他に非常に多い病気は、痛風と偽痛風です。痛風は他の病気とは異なり、自己免疫疾患ではなく、体内の尿酸が過剰に増加することで起こります。尿酸が多い状態が長く続くと、体のあちこちに沈着するようになり、関節痛や腎臓結石などのトラブルを引き起こすのです。
より身体全体に、より長期的に影響を及ぼす病気と、それに伴うリスクは?
一番心配なのは、全身性エリテマトーデス(SLE)と呼ばれる、身体の広範囲のあらゆる部分に影響を及ぼす病気です。腎臓に炎症が起きたり、心臓、脳、目、関節、皮膚に影響が出たり、髪の毛が抜けたりすることもあります。通常はごく軽い症状から、まれに重い症状が出ることもありますが、発見が早ければ軽症で済むこともあり、その範囲は多岐にわたります。
もうひとつは、関節リウマチで、左右対称に関節が痛む病気です。この痛みは他の関節痛や腰痛、普段の日常生活の中で起こるような痛みとは異なり、朝起きた時にひどくなることが多いようです。また、慢性的な腰痛を引き起こす病気として、強直性脊椎炎があります。
これらの病気にかかりやすい人、気をつけるべき症状は?
自己免疫疾患や甲状腺疾患の家族歴がある人は、特に肉親が発症している場合、リスクが高くなります。朝方に関節が痛むなど、生活習慣と関連性のない原因不明の症状があり、特に時間とともに症状が悪化している場合は、すぐに医療機関を受診して、深刻な状態かどうか、詳しい検査が必要なのかどうかを確認してください。炎症マーカーが正常値より高い、原因不明のヘモグロビンの低下、腎機能の異常など、異常な兆候が見られたら、さらに詳しい検査を受けるといいでしょう。
バムルンラード病院は、特定が難しい自己免疫疾患の診断や治療に、新しい技術や開発をどのように役立てているのでしょうか。
調査、診断、治療、そして治療の再評価がすべてつながり、できるだけ効率的に行われるように心がけています。当院では、すぐに結果が出るMRIやPET検査を導入していますので、1週間以内に答えを出すことができます。当院のMRI装置は、脊椎関節炎プロトコルと呼ばれる、背中の特定の炎症を探すためのプロトコルで設計されています。原因不明の炎症がある場合は、PET検査で炎症の原因を探ります。また、当院には最新の検査室があり、必要なことはほぼすべて、迅速に調べることができます。
また、あまり薬を飲みたくないという方のために、関節リウマチやASの治療では、2週間に1回程度注射をする治療法も登場し、より利便性が高まっています。
何か今までにサクセスストリーがあれば教えてください。
診断がつかないケースは、東南アジア地域で何件かあり、私たちのチームが解決してきました。その多くは原因不明の症状で、正しい診断がつかないために治療が遅れ、その結果、関節や腎臓を損傷してしまうというものでした。できるだけ早く診断して治療し、長期的に健康を改善するための計画を立てなければならないスピード勝負でした。
予防策や生活習慣の改善について、どのようなアドバイスがありますか?
これらの自己免疫疾患の根本的な原因は、遺伝的なものや環境的なもの、あるいはそれ以前の感染症やストレスが引き金となって再燃するものなど多岐にわたります。食生活は重要ですが、食生活が特定の自己免疫疾患と直接的に関連しているかどうかは、まだ研究中です。しかし、痛風と診断された患者さんは、赤身の肉、魚介類、アルコール、甘い飲み物など、尿酸を減らすために特定の食品を控えるようアドバイスしています。
また、患者さんには毎日運動をするように推奨しています。水泳は体重のかかる関節に負担がかからず、関節を強化するのに最適な運動の一つです。長い目で見れば、関節だけでなく、体幹の筋肉や背骨にも効果があります。
Dr. Supat Thongpooswan
スパット・トンプーサワン医師
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