IPL(インテンスパルスライト)は、ニキビや肌のトラブルの治療として、十数年前から皮膚科で使用されている技術ですが、近年、ドライアイやその他の慢性的なまぶたの病気に有効な、新しい治療法として注目を集めています。
IPL治療は、皮膚に害のある波長を取り除き、治療に必要な波長(400〜1,200 nm)だけを選択して施術します。施術中は目を閉じて防護した状態で、まぶたの周囲の皮膚に、カメラのストロボのような光をフラッシュして、涙液に油分を分泌するマイボーム腺を刺激します。
IPLによるドライアイ治療とは?
まぶたの上下の縁にあるマイボーム腺は、眼表面の涙液の乾燥防止と、細菌感染を抑える抗菌作用の2つの働きを持っています。このマイボーム腺の機能が低下してしまう病気を、マイボーム腺機能不全またはMGDと呼び、これが炎症とともにドライアイを引き起こす原因となります。
IPL治療は、毛細血管の問題箇所に光を照射して刺激することにより、余剰な脂質を溶かして、マイボーム腺の詰まりを除去します。IPL治療の最終的な目的は、マイボーム腺の機能を回復させ、正常な涙液が分泌されるようにより、それによって目の機能が正常に保たれることです。
また、デモドックスと呼ばれるまつげダニも、ドライアイの一般的な原因のひとつです。通常まつげダニは、死んだ皮膚を餌として、まつげの根本やまぶたに少数棲息しています。しかし、このまつげダニが大量に繁殖すると、眼瞼炎やドライアイ、その他の合併症を引き起こす原因となります。IPL治療は、繁殖したまつげダニを減少したり除去することによって、このまつげダニが原因で起こる慢性的なドライアイを解消します。
IPL治療が可能な患者様
IPL治療は、診察により次の症状が確認された患者さまに効果があります:
- マイボーム腺機能不全 (MGD)
- まぶたの細菌感染、まつげダニ
IPL治療のながれ
IPL治療は、継続的な施術が必要です。推奨治療回数は、患者さまの症状にもよりますが、通常4〜8回程度です。治療の前には必ず眼科医によるカウンセリングをおこない、症状を診察し、患者さまに最適な治療プランを判断します。IPL治療が適応すると判断された場合は、以下の流れで施術を行います。
治療では、まぶたの周囲の皮膚に光を照射して刺激を与え、マイボーム腺を詰まらせている脂質を溶かします。施術の所要時間は15分程度です。施術後に専門の看護師が顕微鏡を使用してまぶたを洗浄します。
施術後ご帰宅いただけますが、毎日のセルフケアを必ず行ってください。
IPL治療後のセルフケア
1. 1週間ほど日光を避けてください。
2. 1日4回 SPF 50以上の日焼け止めを塗ってください。
3. 医師の処方したお薬を服用してください。
充血、日光に対する過敏な反応、激しい眼精疲労など、異常な症状が見られた場合は、すぐに担当の眼科医までお知らせください。
バムルンラードインターナショナル病院、アイセンター
By the Eye Center, Bumrungrad International Hospital
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Last modify: 11月 30, 2024