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Brachytherapy (radioactive seeds) for prostate cancer(小線源療法を用いた前立腺がんの治療)
小線源療法(Brachytheraphy)の「ブラキ(Brachy)」とは、ギリシャ語で「近接した」という意味の言葉です。小線源療法とは、がん病巣の近くで放射線源を使用する放射線療法のひとつで、前立腺の内部に直接、放射線源を移植します。
従来の一般的な前立腺がんの放射線療法では、放射線は皮膚、直腸や膀胱といった周辺組織を通って前立腺に届きます。前立腺がんは用量反応性(放射線量が多ければ多いほど、死滅するがん細胞の数が多くなる)であるため、これらの周辺組織も多量の放射線に曝されることになり、時には治療が不可能な放射線障害に至る場合もあります。その結果、発生率は数パーセントから10パーセントとさまざまですが、テネスムス(しぶり腹)、直腸出血、出血性膀胱炎を発症する可能性もあります。糖尿病や高血圧の持病のある方、ヘビースモーカーの方は、これらの合併症の危険性が高くなります。
組織内照射療法 では、放射線源が前立腺内に留まるため、周辺組織に損傷を与える可能性は少なくなります。放射線源は、逆2乗則に従って急速に放射線量を低下させるという特性があるため、直腸や膀胱といった周辺組織へ照射される放射線量は少量となり、正常な状態であれば放射線による障害は受けません。
放射線源のもうひとつの利点は、ゆっくりと持続的に放射線を照射することにあります。例えば、前立腺がんの小線源療法で一般に利用されるI-125シードの半減期は60日です。このように持続的に照射することで、細胞周期の放射線抵抗性期間に対抗することができます。また、放射線がゆっくりと照射されるため、急激かつ多量に照射される場合と異なり、正常な組織を傷つけることはありません。
小線源療法で前立腺に照射される放射線総量は、従来の標準的な放射線療法の約2倍です。
組織内照射療法に適した方は、外科手術(前立腺全摘出)や外部照射療法でも同程度の効果が得られます。
前立腺全摘出手術では、骨盤腔を切開するため、数日間の入院とフォーリーカテーテル(膀胱留置カテーテル)の装着が必要となります。尿失禁や勃起障害といった合併症のリスクもありますが、性機能に影響を与えないよう神経を傷つけずに処置を行う技術もあります。最も重要視すべき点は、悪性腫瘍細胞による神経周囲のリンパ浸潤がある場合、がんが残ってしまう可能性があることです。
標準的な外部照射療法は、約7週間にわたり週に5日の通院が必要となるため、患者様本人にとって不便であるだけでなく、サポートされるご家族にとっても日常生活の大きな負担となることが考えられます。
一方で、組織内照射療法は一度で終わる処置です。当療法を保険対象としている国では、外来で処置される場合もあります。
間質性近接放射療法は、全ての前立腺患者様に適しているわけではなく、腫瘍が前立腺のいずれかの葉のみで、悪性度が低いこと、前立腺特異抗原(PSA)値が低いこと、前立腺が小さすぎず(膀胱管閉塞が原因で前立腺の経尿道切除を行った場合等)大きすぎないことが条件となります。ただし、条件全てが揃っていない場合でも、各種の要因や医師の判断によって治療の実施を検討する場合があります。また、前立腺が大きすぎる場合は、最初にホルモン治療で縮小させることも可能です。
症状が進行している場合は、前立腺の原発腫瘍とともに、骨盤リンパ節のリンパ液排液といった広範囲な部位を対象とする治療が必要となります。サイズも大きく、多くのがん細胞を持つ原発性がんを根絶するためには、放射線照射量を高くする必要がありますが、このような場合には、直腸や膀胱といった正常な周辺組織を傷つけない組織内照射療法を補完的に用いることがあります。これによって、標準的な外部照射療法よりも放射量が多くなり、腫瘍を除去できる可能性も高くなります。
また、前立腺全摘出手術の後にがんが局所的に再発したものの前立腺の原発巣以外には広がっていない場合や、外部照射療法の後、直腸や膀胱への放射線の暴露にすでに限度がきているものの局所再発の治療が必要な場合に、救援(サルベージ)療法として組織内照射療法が用いられます。
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