すい臓がん検診・誰がいつ受けるべきか？

 膵臓がんは、世界で12番目に多いがんです。患者数は少ないものの、診断と治療の両方においてすい臓がん特有の特徴的な難題を抱えています。残念なことに、膵臓癌は癌の中でも最も高い死亡率を維持しており、毎年、診断された人とほぼ同数の人が膵臓癌で亡くなっています。2015年には33万1,000人だった死亡者数は、2023年には50万5,500人を超え、膵臓がんによる死亡者数は53％も急増しています。この厳しい現実はあるものの、生存率は2015年の7％から2023年には12％へと改善しており、早期発見と治療の進歩を示しています。
 

検診を考慮すべき人

膵臓がんの検診は、特にリスクの高い人にとって極めて重要であり、専門家は以下の時期に検診を開始することを推奨しています。

• 50歳で検診を受けることが推奨される方：家族歴がある、BRCA1、BRCA2、PALB2遺伝子に変異がある、リンチ症候群の人は、または家族内で最も早く発症した人より10歳若い年齢

• 40歳で検診を受けることが推奨される方：遺伝性膵炎にしばしば関連するCDKN2AおよびPRSS1遺伝子に変異がある場合

• 35歳で検診を受けることが推奨される方：がんリスクを有意に増加させる疾患であるPeutz-Jeghers症候群と診断された場合
   

推奨されるスクリーニング検査

現在のところ、膵がんスクリーニングのための信頼できる血液検査はありません。リスクの高いカテゴリーに分類される人には、年1回のスクリーニングが不可欠であり、以下のような検査が行われます。
磁気共鳴画像法（MRI）：膵臓の詳細な画像を提供し、がんの早期徴候の発見に役立つ。
超音波内視鏡検査（EUS）： 内視鏡と呼ばれる特殊な装置を使用し、音波を利用して腹部内から膵臓の詳細な画像を作成する。内視鏡はカメラと超音波技術を備えた柔軟なチューブで、これにより医師は正確な診断と評価のために膵臓の組織を詳細に調べることができる。
 

推奨される検査間隔

毎年
膵がん検診をいつ開始し、いつ中止するかは、各人固有の危険因子や家族歴を考慮する必要があります。一般的に、リスクの高い人は一定の年齢からスクリーニングを開始し、変化の初期徴候を捉えるために毎年行うことが推奨されます。米国消化器病学会（AGA）は、高リスク者が膵臓がんとは関係のない他の健康問題で死亡する可能性が高い場合、または膵臓を摘出する手術を受けることができないような重篤な健康状態にある場合は、検診を中止することができると助言しています。
 

遺伝子検査の役割

遺伝子検査は、膵臓がんのリスクが高い人を特定する上で極めて重要な役割を果たしています。特定の変異を検出することで、早期検診の開始について十分な情報を得た上で決定することができます。
 

早期発見が重要な理由

膵臓がんは早期発見が困難であり、通常、がんが大きく成長するか他の臓器に転移するまで症状が現れないがんです。その意味で、早期発見は、膵臓がん患者の生存率を向上させるために極めて重要といえます。がんやその転移を早期に発見することで、より的を絞った治療が可能になり、より効果的な治療ができる可能性があります。
 

情報収集と健康維持

膵臓がんに関する情報を入手し、検診の重要性を理解することは、特にリスクの高い人々の命を救うことにつながります。もしあなたやあなたの知り合いが高リスクの部類に入るのであれば、検診の選択肢について医療従事者と話し合い、早期発見に向けて積極的に行動しましょう。