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Healthcare for CKD Patients(慢性腎疾患患者様のヘルスケア)

 

避けるべき薬剤・植物性医薬品

腎臓の主な機能は、水分とミネラルのバランス維持、体内の老廃物の排出の2つです。腎機能に問題のある方は薬物毒性に敏感なため、薬剤の使用には注意する必要があります。特にドラッグストアなどで処方箋なしで入手できる市販薬(風邪薬、痛み止め、下剤、ビタミン剤、サプリメント、植物薬等)には十分な注意が必要です。 

このように手軽に入手できる薬剤は全般的に安全と思われがちですが、腎臓疾患があることがわかっている方は使用を避けるべきものもあります。

  • NSAID(非ステロイド系抗炎症薬):イブプロフェン、メフェナム酸、ナプロキセン、ピロキシカム、メロキシカム、ジクロフェナク、セレコキシブ、エトリコキシブ等、痛み止めとして広く使用されていますが、腎臓への血流を減少させ、腎機能を低下させます。
  • ナトリウムまたは発泡錠剤を含む薬剤:アスピリン発泡錠剤等、水溶性ビタミンが体内にナトリウム、水分、ミネラルを蓄えます。
  • 咳止めシロップ:(心臓に有害となる可能性のある)高カリウム血症の原因となう薬草を含むものが多くあります。
  • アルミニウムやマグネシウムを含む下剤・制酸薬:血液中の濃度が高くなると神経系に影響を及ぼします。
  • 下剤・坐薬:脱水症状や高リン血症を引き起こす可能性があります。
  • 植物薬:一部の下剤に含まれるイスパキュラハスク( Isphagula Husk)という成分は高カリウム血症の原因となります。イチョウ、朝鮮人参、ニンニクは血液凝固系に作用し、透析中の場合は瘻(ろう)や移植片出血を引き起こす場合があります。

腎機能が低下している場合は、植物薬・漢方薬(カプセル、液剤等)の服用を避けてください。心臓や腎臓に有害な高カリウム血症を引き起こす可能性があります。

腎疾患のある患者様へ

  • ビタミン剤、サプリメント、植物性医薬品、市販薬を含め、服用している全ての薬剤を担当医師にお知らせください。
  • 体調が悪いときは医師の診断を受けてください。
  • 吐き気、嘔吐、食欲不振、体重増加、脚のむくみ、息切れ、筋肉痛・筋けいれん、手足のしびれ、皮膚のかぶれ、排尿障害(尿失禁・頻尿・排尿時痛)等の異常がある場合は、担当医師にお知らせください。

食事療法の重要性

以下のような理由から慢性腎疾患患者にとって食事管理は非常に重要です:

  • 腎機能低下の抑制
  • 透析を要する段階の遅延
  • 老廃物排出のための腎臓への負担の軽減
  • 腎臓への負荷の軽減
  • 食物由来の老廃物の低減
  • 栄養不良の予防
  • 患者様の健康と生活の質の向上

腎疾患に影響する栄養分

腎臓機能が低下したり、血液検査で異常値が出たりした場合は、一部の栄養素を過剰に摂取すると体内の老廃物の蓄積につながり健康に影響が出るため、一部の食品に対する制限が推奨されます。腎疾患に悪影響があると考えられている栄養素は以下のとおりです:

  • ナトリウム:人間の体は血圧を調節するために少量のナトリウムを必要とします。腎疾患がある場合、腎臓で余分なナトリウムを排出できず、水分が滞留し、むくみの原因となります。その結果、高血圧、胸水の他、心不全を引き起こす場合もあります。

避ける/控えるべき食品 :塩漬けの魚、ハム、ベーコン、ソーセージ、漬物、塩味のスナック、チーズ等、ナトリウムを多く含む食品。また、塩気は強くなくても、ナトリウムを含む食品も避けるべきです。例えばパンには重曹(重炭酸ナトリウム)が多く含まれています。

  • カリウム:筋肉や神経の働きを維持するために必要なミネラルです。腎機能が低下すると尿でカリウムがうまく排出されず、体内に余分に蓄積され、蓄積濃度が高くなると筋力の低下や筋けいれん、不整脈といった症状が出てきます。腎臓疾患初期( eGFR:90mL/min/1.73m2以上)や中期(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)の場合は、まだ腎臓に老廃物を排出する機能があり、血中カリウム値がそれほど高くなければ(3.5~5.0mg/dL)果物や野菜を食べても問題ありませんが、血中カリウム値が5.0mg/dLに近いあるいはそれを超える場合は1日に1回か2回の摂取にとどめ、キャベツ、カリフラワー、キュウリ、レタス、モヤシ、ブドウ、パイナップルといったカリウム量の少ない果物・野菜に制限する必要があります。

避ける/控えるべき食品 :ドライフルーツ、ドリアン、タマリンド、メロン、タヒチアンノニジュース、トマト、緑色葉野菜、カブ、バナナ、オレンジ、パパイヤ、ジャックフルーツ等、カリウムを多く含む食品。

  • リン:腎臓機能が低下するとカルシウムの吸収量が少なくなり、リンを排出できなくなります。その結果カルシウム摂取量が少ないにもかかわらず、大量のリンが血液中に蓄積されます。

避ける/控えるべき食品 :ぬか、チーズ・牛乳等の乳製品、加糖練乳、魚卵、卵の黄身、エビ、カニ、重曹を含む食品、ナッツ類、乾燥豆、色の濃いソーダ

  • タンパク質:タンパク質は人間の体に欠かせない栄養素です。腎疾患のある場合もタンパク質を摂取する必要がありますが、量を制限しなければなりません。食品に含まれるタンパク質を体内へ摂取・吸収する際に老廃物が発生し、腎臓を通して排出されます。タンパク質を過剰に摂取すると、腎臓の働きへの負荷が高くなるため、腎疾患患者については動物性・植物性ともに高タンパク質食品の摂取量を制限する必要があります。

避ける/控えるべき食品 :卵の黄身、臓物、豚・鶏・鴨の皮、脂の多い豚肉・牛肉、脂分の多いスペアリブ、子豚の丸焼き、北京ダック、豚の三枚肉、豚皮揚げ、鴨のロースト、ガチョウのタイ風角煮、魚卵、エビの卵等、高脂肪・高コレステロールの肉およびタンパク質食品。また、老廃物を排出する際に腎臓への負荷が高くなるため、豚・牛・鶏の腱、フカヒレ、鴨・鶏の足・皮・軟骨、ナッツ類、乾燥豆、ナッツ入り食品等、必須アミノ酸を含まない食品も避けるべきです。

食事に関するアドバイス

  • 毎食、できるだけ多くの品目を摂取し、米、肉、野菜、果物は必ず食べるようにします。
  • 市販の化学調味料、人工の塩・しょうゆ、魚醤を避け、スパイスで風味付けするようにしてください。

腎疾患を患うと体力が落ちますが、だからといって運動してはいけないというわけではありません。逆に運動は体が最も必要としているものである可能性があります。運動せずにいると筋力や心臓の働きが低下し、関節もこわばります。運動することでこうした低下を食い止め、再び健康的に感じられるようになるでしょう。

運動の重要性

  • 心臓の機能を高め、心臓発作のリスクを軽減します。
  • 体内の各臓器への酸素供給に必要なヘマトクリット値およびヘモグロビン値を上昇させ、グルコース調節力を高めます。
  • 血圧を低下させます。
  • コレステロール値および中性脂肪(TG)値を低下させます。
  • ストレス発散になります。

運動に関するアドバイス

** まずは運動を始める前に、必ず担当医師にご相談ください **

手軽かつ楽しめる運動(床運動、ウォーキング、水泳、自転車等)を選び、最低でも週に3回を心がけてください。最初の週は1回5分から始め、週を追うごとに1、2分ずつ増やして徐々に体を慣れさせ、1回30分を目安とします。減量目的あるいはさらなる効果を求める場合は、長い距離のウォーキング(20~30分以上)をお勧めします。
 

以下に当てはまる場合には運動を行わないでください

以下の症状がある場合には運動を中止してください

  • 熱があるとき
  • 高温多湿の気候のとき
  • 整形外科的疾患のあるとき
  • 疲弊しているとき
  • 息切れのあるとき
  • 胸痛のあるとき
  • 心拍数に異常のあるとき(不整脈、頻脈)
  • 吐き気のあるとき
  • 脚にけいれんのあるとき

喫煙は体内へ毒素を入れるもので、ほぼ全ての臓器にとって有害です。喫煙による血管の変化により動脈硬化(動脈が詰まり硬くなる状態)が引き起こされ、心臓疾患、心臓発作、気管支炎、肺がん等の原因になります。

喫煙が腎臓に及ぼす悪影響:

  • 血圧と心拍数の上昇
  • 腎臓中の血流の低下
  • 腎血管の狭窄
  • 細動脈(枝分かれした動脈)の損傷
  • 腎動脈硬化(動脈が詰まり硬くなる)の形成

慢性腎疾患になるリスクは喫煙者の方が高くなります。また喫煙本数が多いほど、末期腎不全となる率も高くなります。喫煙により血圧が上がり、腎機能不全の原因となるタンパク尿(尿中タンパク質量が過多)のリスクが高くなるためです。また、喫煙が他の腎疾患の進行を速めることも明らかになっています。十分に立証されているものに糖尿病のケースがあり、糖尿病患者が喫煙者の場合、腎疾患にかかるリスクが高くなり、腎疾患にかかると、非喫煙者あるいは禁煙した人と比較して腎機能低下の進行が速くなります。さらに、喫煙はしばしば腎疾患に併発する二大疾病である高血圧と心臓血管疾患のリスクも高めます。腎機能を維持するためには、禁煙が最も有効な対処策のひとつであることが明らかになっています。

禁煙のためのヒント

上記のように喫煙するタバコの数が腎疾患のリスクを高める傾向にあるため、節煙でもある程度の効果があるでしょう。ただし、やはり禁煙が最も効果的です。ニコチンへの依存、渇望、誘惑が抑えられないなど、禁煙が難しいと思われる場合でも、段階を踏めばうまく禁煙を成功させることができます。時には完全禁煙までに何度も挑戦しなければなりませんが、タバコを止めることは努力の甲斐のあることです。

  • ニコチンガムやニコチンパッチ、薬の処方など、医師にニコチン置換療法について相談する。
  • 禁煙開始日を決め、タバコをすべて捨てる。
  • ガム、キャンディー、深呼吸、瞑想等、吸いたくなったときに欲求が収まるまで行うことを決めておき、ストレスを軽減する。
  • 禁煙プログラムに参加する。
  • 禁煙に成功するまで何度も挑戦する。
Last modify: 6月 14, 2019

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