心臓血管疾患は、全世界における死因の第1位であり、年間の死亡者は1,790万人、死亡率は31%を占めています。その一方、冠動脈硬化や冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の発生率の低下により、心臓血管疾患の死亡率が減少しているという明るいニュースもあります。
心臓血管疾患の再発を抑えるには、スタチン系薬剤、β遮断薬、アスピリン、硝酸薬、抗血小板凝集薬などの薬物療法による二次予防が必要です。これら二次予防の薬剤は、高コレステロールや高血圧など患者さまの病状に応じて処方されます。
また、心臓血管疾病の予防には、生活習慣の改善により大きな効果が得られます。従って心臓病を管理予防するためには、患者さまご自身の積極的な取り組みが必要となります。同時に、心臓疾患から命を守るためには、迅速で適切な治療がとても重要です。
数多くの方が、心臓や血管に問題を抱えています。バムルンラードインターナショナル病院では、高い専門性と豊かな経験にもとづき、そのような患者さまそれぞれに合わせた最良のメディカルソルーションを提供しています。また当院では、従来の侵襲的な心臓バイパス手術に代わる、身体に負担の少ない新しい治療の選択肢も多数提供しています。
心臓バイパス手術をしない新たな治療法
冠動脈疾患は、早期発見と的確な診療を行うことが非常に重要です。そのためには、最先端の医療を提供する当院のハートチームと患者さまとの緊密な連携が、治療成功へのライフラインとなります。当院ハートチームを率いる Visuit Vivekaphirat 博士は、治療困難な循環器疾患に対する、他の病院では見られない、当院独自のアプローチをこう説明します。
「私どもの患者さまの約半数の方が、血管に複数の閉塞を患っています。その代表的な症例として、3つの冠動脈の狭窄(3枝病変)があげられます。多くの心臓専門医は、このようなケースは、心臓バイパス手術のみが唯一の選択肢だと考えます。しかし、このような困難な症例を専門に扱うバムルンラードインターナショナル病院の複合冠動脈インターベンションセンターなら、併設の心臓カテーテル室を使用して、心臓バイパス手術によらない他の治療を行うことが可能です。
これにより、手術に関わる患者さまの負担、回復時間、そしてもちろん費用を軽減できることが、大きなメリットです。当院の6名の医師チームは、日々進歩する心臓医療の最前線に立ち、さまざまな選択肢の中から最適な治療方法を検討しています。」
冠動脈疾患の診察と治療
冠動脈にプラーク(動脈硬化脂巣)が蓄積し、血管が狭くなったり硬化した症状をアテローム性(粥腫)動脈硬化症といいます。その結果、心臓への血液の流れが減少して、胸の痛みから心停止に至る一連の病気を引き起こします。このような冠動脈疾患は、心電図、運動負荷検査、心臓超音波検査などで検査が可能です。また、CTスキャン、心臓MRI、および冠動脈造影検査など、より高度な診断ツールを使用してさらに精細な検査も行えます。
心臓カテーテル治療(冠動脈形成術)は、閉塞した動脈内にカテーテルを用いて挿入したバルーン(風船)やステント(金属メッシュの筒)を膨らませて、血流を拡張することが主な目的です。この治療は、効果的に動脈壁に蓄積したプラークを平らにすることができます。施術は局所麻酔下で行われることが多く、1〜2時間ほどで完了します。
冠動脈疾患の予防と取り組み
症状が複雑化する前の冠動脈疾患は、ステント留置術による治療が推奨されますが、それはあくまで応急的な処置であり、病気自体を根本的に解決するわけではありません。そのような治療に加えて、コレステロール値の低下、健康的な体重と低脂肪食の維持、適度な運動、喫煙などの危険因子を減らすなど、ご本人の病気への取り組みがとても重要です。
また、病状によっては、低侵襲の血管形成術ではなく、冠動脈バイパス手術が必要になるケースもあります。バイパス手術は、閉塞した部位の周りに血流を迂回させて、損傷した動脈を避ける新しい血流ルートを作ります。その結果、心臓により多くの酸素が供給されるようになります。
複雑な病状に対する先進的な取り組み
当院の複合冠動脈インターベンションセンターは、通常では治療が困難な複雑な病状に、特殊なカテーテル技術を用いて対応しています。患者さまのなかには、高度の閉塞、狭窄した動脈の数、またはその位置が原因で、従来の治療法が適応でない方もいらっしゃいます。さらに、高齢、健康上の問題、心不全などの理由により、手術のリスクが高いと判断された患者さまや、過去に血管形成術またはバイパス手術を受けた患者さまも、適応除外となる場合があります。
バムルンラードインターナショナル病院では、このような治療困難な症例に対して、高度な技術を持つハートチームの専門的なサポートのもと、各領域が連携をした総合的なアプローチによる治療を行っています。当院の提供する最先端治療には、石灰化した冠動脈を「ドリル」するロータブレーターによる治療、心不全の患者さまの心肺補助を行うECMO(体外式模型人工肺)、心臓への負荷を軽減する大動脈バルーンパンピング(IABP)など、多くの選択肢があります。さらに、冠動脈にカテーテルを挿入して行う血管内超音波検査では、病態の個別的な治療法および総合的な治療方針の決定に関するより詳細な情報が得られます。
心臓病の治療において最も重要なことは、従来の治療法に加えて、高い可能性を持つ先進的な治療や、専門的な治療も同時に検討に入れることです。
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- 心臓疾患センター
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